気が付けば、私は女の子になっていた。しばらくすると、どこからか視界に「彼女」が現れた。私はもう彼女に無視なんてされなかった。自分の性別が変わったことで、私は彼女の友達......それも、同性の友達になれたのだった。
......というところで目が覚めた。意識を取り戻すとともに、大きな虚無感と絶望感に襲われた。女の子になって一番にやりたかったことは、1人ファッションショーでもなく、カラオケに行くことでもなく、ましてや女湯に行くことでもなく、「彼女」ともう一度友達になることだったのだという事実が、私の胸にぐさりと刺さった。
現実世界では、彼女ともう一度友達に戻る術は見つからない。何と声をかけても、思いつく限りのどんな迂遠な手段を使っても無駄だった。私は。粉々に割れてしまった友情のかけらを、ただ見つめることしかできなかった。頑張れば頑張るほど、無力感だけが募っていった。
彼女の答えはキッパリとしたものだった。決然としたNoの答えだ。だが、その一方で彼女の内心はずっと曖昧なままのだろう。将来のことも、自分の心のことも、何も分かっていないのだろう。彼女は、その曖昧さを私に悟られまいと私を遠ざけているのだろうか。それとも、私の存在そのものが自分の矛盾を突きつけてくるから、私を遠ざけているのだろうか。
多くの人は、「時間が解決するだろう」と言ってくれる。だが、解決されるまでの私のこの苦しみの時間積分は、一体どう対処すればいいのだろう。わからない。自らの死によって時間による解決を全て放棄してしまおう、あいつにとって一生残る傷になってやろうとブラックジョークをこぼしたことは一度や二度のことではない。早く誰か助けてくれ。
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